恩師

ここのところ煮詰まっていて、ショパンの舟歌がにっちもさっちもいかなくなってしまっていたので、一年ぶりにまり先生のレッスンを受けに行ってきました。まり先生は子供の頃からずっと見ていただいている先生で、いわゆる恩師というやつです。

まず一回通して聞いてもらって、第一声が、
「なんか自分を殺して弾いてない?どうしてそんな真面目になっちゃったの?って感じよ。」

何でもお見通しなんですね。笑
たしかに、色んな先生のレッスンを受けたり色んな演奏家の録音を聞いたりして、何が「正しい」のかわけがわからなくなってしまって、結局無難になってしまっていたというか、楽譜に書いてあることをなるべく正確に弾こうと、そればかり考えてしまっていたのかもしれません。

「色んな先生のレッスンを受けるのはもちろんいいことよ、だけどそれはそれ、友機くん自身の音楽がなくなっちゃったらつまらないわよ。さっきのじゃなんだか誰かが用意した型にはまっちゃって、これが新妻友機の舟歌よ、っていうのが全然感じられなかった。他の先生のいいところは取り入れて、だけどちゃんと自分の音楽もしっかり持って。そうじゃない?育ての親としてはね、そう思うわよ。」

やっと霧が晴れました。もっと自由に弾いていいんだ、と。僕らしく弾こう、と。
そして、本当にいい先生に育てていただいたな、と改めて。

写真は二十歳の頃に開いたリサイタル終演後、旧奏楽堂にて、先生と。
奏楽堂2