ニューヨーク公演

Thank You so much for coming to my first piano recital in NY!!

初のニューヨーク公演が無事に終演致しました。ご来場下さった皆様、どうもありがとうございました!

ニューヨークは、私が産まれる前に両親がかなり長い間住んでいた街で、子供の頃からしばしば彼らの思い出話を聞かされて育ってきたのですが、今まで訪れる機会はありませんでした。だからといってニューヨークに特別な憧憬があったわけではなかったのですが、いざニューヨークの街に降り立ってみると、自分でも驚くほどの高揚感がありました。なんといいますか、街自体にものすごいエネルギーが漲っているような印象。アメリカンドリームだとか自由の国だとか世界一の経済大国だとか、そんなアイデンティティを常に保ち続けてきた国の中心地として、ふさわしくあろうとするプライドとでもいったらいいんでしょうか。

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今回も例によって2泊4日の弾丸ツアーだったので、のんびり観光する時間はなかったのですが、イメージ的にブロードウェイでミュージカルを観て、あとせっかくだから自由の女神くらいは見てみたいかも、という漠然とした希望は達成できました。

ミュージカルはシカゴを観たのですが、もう本当に素晴らしくて、面白くてカッコよくて大迫力で、これぞエンターテイメント!という感じでした。近くに来た演者さんを見ていると、たまに目を合わせて微笑んでくれたりして、あれはやはり客としては嬉しいなと。どうしても自分がコンサートをするときはそんなことにまで気を回す余裕がなかなかないのですが、見習って頑張ろうと思いました笑。

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自由の女神も、スケジュールの関係で近くまで行くのは諦める寸前だったんですが、何とか行けて、そしてやっぱり行ってよかったです。間近で見ると感動が段違い。2枚目は、ブルックリン橋をバックに。

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ブルックリンのアパートに泊まったのですが、マンハッタンの中心地からはやや離れているものの、滞在するにはとてもよい場所でした。

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ニューヨークは落書きがデフォルト

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地下鉄がトラウマ(不機嫌そうな顔を同行者の藤本くんに盗撮された)。改札に切符通してもたまに入れない上にもう使えなくなったり、一旦入ったら逆方向のホームに行けない駅もあったり、日本と違ってすぐ遅れたり止まったりするし、なぜか呼んじゃうみたいで乗るたびにボンゴやら歌やらのパフォーマーが同じドアから乗り込んできてうるさいしチップ要求されるしで、途中から移動は全てタクシーに切り替えました。笑

お食事は、ニューヨーク在住の萩原くんたちのアテンドのおかげで、その時その時に食べたいものを完璧なタイミングとロケーションでいただくことができました。無心でついていくだけで素敵な所に連れて行ってもらって、美味しいものを食べさせてもらえるなんて、こんな幸せなことがありますか。ブルックリンのオシャレなお店でコーヒーを飲んだりスクランブルエッグの朝食をいただいたり、港の近くでシーフードを食べたり、もちろんステーキやハンバーガー、地ビールにワイン。全てが美味しかった。

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肝心のコンサートですが、ヴァイオリンソナタの合わせを犠牲にしてソロのリハに時間を割かせてもらったおかげか笑、ここ最近では会心の出来でした。いかにも年代物、という感じのスタインウェイで、なかなか面白い楽器でした。近代的なホールではこういった類の楽器にはなかなかお目にかかれないので、今回のように歴史ある会場で素敵なおじいちゃんピアノに出会うとなんだかあたたかい気持ちになります。

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そして室内楽ですが、ヴァイオリンソナタのリハをしなかったのは、しなくても大丈夫という自信がお互いあったからで(そういうことにしましょう)、本番もとても気持ちよくアンサンブルができました。藤本くんは途中まで緊張してたとか言ってましたが、とてもそうは見えない、いつもの素晴らしい音色で伸びやかに豊かに、優しくも力強いフランクを表現してくれました。

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メインのホルントリオ、珍しい編成で私も今回初めて挑戦したのですが、そもそもホルンの萩原くんがニューヨークにいるということで始まった本企画ですからこの編成はマスト。最初は王道のブラームスでいく予定だったのですが、色々聞いているうちにこれだ!となってしまって、途中で曲を変更してもらい、イウェイゼンというアメリカの作曲家の作品を演奏しました。ちょっと映画音楽やゲーム音楽っぽい雰囲気もあり、いかにもアメリカ的・現代的な親しみやすい音楽。今回初めて知った作品ですが、大好きになりました。ホルンの友達に聞いたらかなり技術的な難易度が高い作品らしいのですが、さすが萩原くん、見事に吹ききってくれました。ラストはノリに任せて、リハの1.5倍くらいのスピードで駆け抜けました。笑

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今まで新しい国で初めてリサイタルをやるときは「失敗しないようにしなきゃ」とか、「この演奏の良し悪しでこの国の聴衆の自分に対する評価が決まるんだ…!」みたいなわけのわからないプレッシャーばかり感じてしまっていたのですが、とにかく今回のコンサートは本当に楽しくて楽しくてただそれだけで、こんな風にのびのび弾けたのは、あたたかいお客様と、そして何よりも萩原くん、藤本くんのおかげです。

現地在住だから、というだけで何から何までコーディネートをお願いしてしまって、萩原くんには本当に頭が上がりません。彼の優しさに甘えてしまって、きっと無茶なお願いも何度もしてしまったと思います。それにも関わらず、多忙の中コンサートのためにたくさんの時間や労力を費やしてくれて、完璧な環境を用意してくれて、心から感謝しています。次に会えるのはもう帰国してからになるでしょうか、今度は東京でまた一緒にやれるのを楽しみにしています。

藤本くんは本番1ヶ月前くらいに急遽お願いして、日本から一緒に行って演奏してもらうという、一言で言えば「暴挙」に付き合ってもらいまして、正直9割方ダメ元でオファーしてみたのに、まさか引き受けてくれるとは、さすがだと思いました笑。お仕事や育児で本当にお忙しいでしょうに、ありがとうございました、おかげで無事に開催できました。

それから草川くん、なんとわざわざ日本から来てくれて、しかも普通にお客さんで来てくれたはずなのにここぞとばかりにスタッフをやらせてこき使ってしまって、申し訳ない。めちゃくちゃ助かりました。次は共演できるのを楽しみにしています。

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客席に目を移すと、1週間前に急にお知らせしたのにも関わらず麻布時代の同級生が来てくれていて、すごく嬉しかった。どんなコンサートでも、お友達が来てくれると嬉しいというのはもちろん変わらないのだけど、やはり初めてのニューヨークで知り合いも全然いない完全アウェーの状況で、客席に見知った顔があるというのはどんなに心強いことか。来てくれて本当にどうもありがとう。何十年ぶりに会ったのかも分からないけれど、また近いうちにニューヨークなり東京なりで会えるのを楽しみにしています。

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たった48時間の間に、おいしい、たのしい、うれしい、しあわせ、がたくさんたくさん詰まったニューヨークツアーでした。最高の思い出になりました!!

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会場のコロンビア大学にて

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