ノスタルジー

セミの大合唱と照りつける太陽に、すっかり夏も盛りなのだなと感じさせられる今日この頃ですが、皆さま体調など崩されておりませんでしょうか。
夏が来ると毎年ノスタルジックな気持ちになってしまいます。子供の頃の記憶などあまり残っていないはずなのに、私の中の抽象的でぼんやりとした「昔の思い出」は、なぜか夏という季節と結びついているようです。

ここ数年、少しずつブラームスの晩年の小品に取り組んでいるのですが、まさにこれらの曲もノスタルジーに溢れています。ブラームスといえば長大な交響曲や室内楽曲、ピアノソナタなどももちろん素晴らしいですが、晩年の小品にこそ彼の本当の姿、心が表れているように思えてなりません。最晩年にしてようやく、ナイーブな彼の心のうちを我々に見せてくれた、そんな印象を受けます。
私は特に、op.118-2の間奏曲が大好きです。枯れているようでいて瑞々しい。深い味わいのある名曲です。

辛いとき私はいつも、ピアノに助けられてきました。こういったブラームスの小品や、あるいはショパンの舟歌などもそうですが、晩年の作品というものは、心が元気をなくしてしまっていても静かに寄り添ってくれるものが多い。偉大な作曲家たちが自らの人生を振り返りながら心の赴くままに紡いでいった晩年の作品には、本当に何とも言えない魅力があります。

いずれリサイタルなどで皆さまに聴いていただけたら嬉しいです!

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